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2007年 07月 31日

THE ORCHIDARIUM (その1)

   ★2007年1月~5月の比国滞在時の出来事です。
 
「THE ORCHIDARIUM」とは、リサール・パークの中にある蘭園のことだ。
英語の辞書には、orchid(蘭)は載っているが、orchidariumは載っていない。
造語なのだろうか。
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この花、始めはプラスチックでできているんではないかと疑った。
女房、忙しそうに働いていた係りの人をわざわざ呼び止めて名前を聞いていた。
5分後に「なんていう花だったけ」と聞いたら、すでに忘れていた。
始めっから聞くなよ。

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リサール・パークの蘭園を女房と仲良く散歩した。食事した。
シルバー・デートさ。たまには良いものだ。

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蘭という花について知識をほとんど持っていなかった。
高価で栽培に手間がかかるくらいかな。
と思い込んでいた。でも、ネットでちょっとしらべてみると、安いのもたくさんあり、手間もあまりかからないだってさ。よく知らないでものを言っちゃあ、いけないよな。

百花繚乱というか、花屋の店先のように花が咲き乱れている姿をイメージをしていたのだった。
無知だった。面食らった。予想が外れた。

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どこかアカデミックで植物園という感じだった。でも、これはこれで、良い感じだ。
東京の家の近くの、文京区の小石川植物園の雰囲気だった。

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ここの「BARBARA」というシーフード・レストラン、なかなか御薦めだ。

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雰囲気は良し、料理もよし。上品な味だ。
インテリアも洒落ていて、デート向きだろ。

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お昼は庭から陽光が入り、明るく開放的だ。
健全な雰囲気さ。

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午後7時のディナー。
まだ、早すぎるみたいで、客は私達二人。貸切さ。

御薦めと言った以上、プライスもつけとくね。この夜頼んだのは、3皿。
 seafood amelie   440ペソ 
gammbas       180ペソ
mushroom ala pobre 140ペソ
ライス(2枚)   15×2ペソ

 SMBライト   50×2ペソ
 赤ワイン     200×2ペソ
        計 1290ペソ
リーズナブルやろ。特徴は上品な味。
熟年カップルは、量的にもこれで十分。

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佐太郎、ご機嫌。
この赤いお薬、効くねえ。

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シルバー・デートさ。
カアチャンもうれしそうやろ。
あんまり、いいところに連れて行かないものな。
「釣った魚に餌を・・・」
おっと、禁句だ。

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結婚式とか、誕生日の大掛かりなパーテイをやることが多いようだった。
土日は貸切になっていることが多いと思うよ。
そうか、パーティに潜り込むという手もあるな。今、気づいたぜ。

この夜、写真のポスターを私と同年輩のフィリピン人の紳士が飾りつけていた。
「この方、アクトレスですか」
「いやあ、私の娘です。明日、ここで結婚披露パーティをするんです」
と、うれしそうに、答えた。
佐太郎、なんやかんや言って、人を喜ばすのが上手だろ。
ポスターには、二人がボラカイ島で出会ったなれそめが書いてあるみたいだ。
書いてある内容はクサイよな。ハハハ。

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最初来たときは、お昼。テラスで珈琲とケーキ。
甘さも控えめ。おいしいかった。

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帰り際、出口で。
結構、暑いんだけど、この格好だぜ。
倒れて以後、佐太郎のこの世の敵(かたき)は、寒さなんだ。
おっと、まだあった。金も敵だった。

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やはり、出口付近で。
最近、優しいときと手厳しいときの格差がすごいんだ。
14歳も年下なのに、いじめるんだぜ。(小さな声で)
耐えることには強いんだけど、ちとつらい・・・


  「ORCHIDARIUM(その2)」に続きます。 

by wakahiroo | 2007-07-31 18:32 | ○マラテ迷宮案内
2007年 07月 31日

THE ORCHIDARIUM (その2)

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蘭園の入口
入場料、忘れた。
確か15ペソくらいだったと思う。
まあ、気にならない金額ってことよ。

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蘭園の散歩道にて①

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蘭園の散歩道にて②




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バタフライ・パビリオンで。
オヤジ達に告ぐ!
夜、ネオン街に棲息する蝶もそれはそれで魅力的だけれど、ここのも見たらいかがかと。
余計なお世話かい。ハハハ。

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接写の技術が全くなっていないなあ。自覚はしている。
今後の課題さ。


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蝶の種類など、全然わからねえ。
佐太郎、虫の方は全く興味がないんだ。


都会の真ん中で、ちょっとしたジャングル気分が味わえるよ。
どれが蘭で、どれが蘭でないかも、全くわからなかった。
蘭の世界は奥深いらしい。ど素人がわかるわけないよな。
率直な感想。見学者には不親切な植物園だ。
もっとも、蘭について本気で知ろうとするひとなんてごくわずかなんだろうけどね。
素人に対しては素人を喜ばせる展示の仕方ってあるよな。
でも、何度も言うけど、デートには向いているぜ。

てなわけで、以下は説明なしなのだ。いや、説明できないのだ。
雰囲気だけ、味わってくれい。

密かにフィリピンの家のベランダで蘭を育ててみようとは思ってはいるんだけど・・・・

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ところで、蘭の花言葉って知っているかい。
ハハハ、常識だぜ。
彼女にしたい素敵な女の子ができたら、この蘭園に連れていくのも良いんじゃないかな。
澄みきった紺碧の空。目を和ませる緑と色鮮やかな花々。近くの喧騒が嘘のような静寂の空間。
二人っきりで庭園を歩くとロマンチックだ。
きっと、何かが起こるぜ。

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最近、老いの慰みというやつでミステリー仕立てのラブ・ストーリーを書きたくなっているんだ。
趣味としては最高だぜ。
日曜大工、日曜画家があるんなら、日曜作家ってのも面白いよな。
金がかからない。頭を使うからボケない。気持ちを若く保てそう。
死ぬまでに、3年くらいかけて一作、書いてみようかな。
生活のために書くんじゃないから、ゆっくりペースでやってみるか。
出来上がる前にこの世にサイナラしたら、未完の大作ということにしておいてくんろ。ハハハ。
そろそろ、人物設定と構想を練り始めようと思っている。

てなわけで、ちと創作練習。


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・・・・・・・・・・・・・
ロハス・ブルバードをはさんでアメリカ大使館に対面したところにスターバックス・カフェがある。
旅行者風情の欧米人。韓国語を話す若いグループ。こざっぱりした服装だが少し危険な雰囲気を漂わせるフィリピン人の男女。店内は八分通り埋まっている。昼下がりにしてはなかなかの盛況。
午後3時。隆志は約束の時間にお店に入った。
驚いたことにコーラはすでに座っていた。備え付けの新聞に所在なげに眼を通している。嘘だろう、フィリピーナが待ち合わせに約束通り来ているなんて。
好意的に言えば時間の制約から解き放たれている悠長で鷹揚な気質、悪く言えば時間にルーズでノウテンキな気質がそうさせるのか、それとも、フィリピーナ特有の見栄がそうさせるのかわからないが、1時間くらい待たされるのが普通だった。時間を守るというそんな当然のことに、隆志の中で予感が走った。ときめきを感じた。今日は何かが起こるぞ。
ゆっくりとした時間の流れを基調とする異空間の文化を劣っていると軽率に判断するほど、隆志は無知な愛国者でも厚顔な文明人でもない。
「待った?」
「いえ、少しだけ」
「君って変わっているね。フィリピーナを待たせたのは始めてだよ。今日は記念すべき日だ」
「あら、あたし、時間をあんまり気にしなかっただけなの。よくあることよ。不満なの? じゃあ、今度はたっぷり待たせてあげるわ」
「いや、そいつは結構。願い下げだな。お腹すいてる? 外で何か食べるかい」
「いいえ、食べたばかりなの。すいてないわ」
「じゃあ、お願いがあるんだけど・・・」
「えっ、なあに」
「ちょっと暑いけど、外を散歩しないかい。リサール・パークって、まだ行ったことがないんだ。ガイド代、払ってもいいんだぜ」
「よくってよ。私を観光ガイドとして使おうなんて勇気あるじゃない。すご~く高いわよ。でも、あなた、優しいから、今日はただにしてあげる。スペシャル・サービスよ」
「あんがと。涙が出てくるよ」

人と駐車中の車で混雑するロハス・ブルバードの側道を北に歩き、カラウ・アーべニューを横切るとそこはもうリサール・パーク。リサール記念像の前では、群れをなして韓国か台湾の観光客が写真を撮っている。これは好機とばかり、隆志もポケットからデジカメを取り出す。
「一枚、撮っていいだろう。君の美しい顔を東京でも眺めていたいんだ」
「あら、写真がないと私のこと思い出せないのね」
「俺って、想像力にと乏しいんだ。寝る前には、写真を眺めては君のことに思いを馳せるんだ。いいだろ」
「本当ね」
「にっこり笑わなくていいよ。君の自然の表情を撮りたいんだ」
「何よ。じゃあ、思いっきりきつい顔をしてあげる」
カメラを見据えてくるまじめくさった顔も微笑ましい。

漆黒の潤んだ大きな目、形のいい少し上向きの鼻、きりっとしながらも今にも笑みのこぼれ落ちそうな口元。
夜の薄暗い照明の下での美しい整った顔には魅了されていた。が、時折、ふとした表情の奥に、悲しみ、頼りなさ、脆さといったものが渾然と入り混じった翳りを垣間見る。何時まで眺めていても見あきなかった。
この女をもっと知りたい。白日の下で素顔を見たいという欲求にかられていた。で、神秘ののベールを剥がしてやるんだと意気込んで、半ば強引にこうして外に連れ出してきたのだ。
美形には変わりなかった。が、思った以上に色黒で健康的に見える。
あら隠しのできない太陽光の下でも美しいということは、どこにいても美しいんだろう。血管に血流がどっと流れるのを感じた。

夜とは確かに印象が違う。性格の明るさと人柄の良さが伝わってくる。
昼の光は神秘の女の妖艶さを弱めはしたが、現実の女の逞しさをクローズアップした。
隆志は惚れ直した。俺が求め続けたのこの女だ。俺が今まで独身でいたのもこの女のためだ。
確信した。もう躊躇うものは何もない。どんなことをしても、この女を手に入れるんだ。

リサール記念像の左の道を通り、公園の中ほどにある芝生の広場を進む。
暑い。ギラギラと陽光が照りつける陽光の中を歩いている人はほとんどいない。
たちまち、汗が噴き出てくる。
「ごめんね。こんなところ、歩かせちゃって。はい、ハンカチ」
「ありがとう。気がきくのね」
首と額を拭って、返したきた濡れたハンカチを鼻先にもっていき、クンクン嗅ぐ。
「うわっ。たまんねえ。いい匂い。卒倒しそうだ。ビニール袋に入れて日本に持って帰ろうかな」
「ばあか。エロいのね」
「そうさ、思いっきりエロいんだぜ。がっかりした?」
「フン、男なんて皆エロいわよ」
澄み切った青空。吹き渡る風にたなびく色とりどりの旗。ピンクや白の美しい花の咲き乱れる水辺。
二人して冗談を言い、顔を見合わせ見合わせ歩くと、ぎこちなさもすっかり消え、打ち解けた心になる。
太陽が半端でなく照り付けている日中は当然のことながらベンチに腰掛けている人はいない。
「こんな素敵な陽光が降り注いでいるのに、誰も浴びようとしないなんて、日本では考えられないな」
「好き好んで色黒になろうなんてするフィリピン人はいないわ」
「東京では、日焼けサロンというところで、お金払ってガングロになるんだぜ」
「ガングロって、なあに?」
「顔の色の黒いこと」
「じゃあ、あたしって、ガングロなの?」
「うーん、だよな。でも、日本のガングロよりはずっと上等で品がある」

コーラにさりげなく手を出すと、躊躇することもなく、握ってくる。血管の中で血が沸騰する。
女の子と最後にこんな風に散歩したのは何時だったか、思い出せなかった。

公園中央のマリア・オロッサ・ストリートを渡ると、右手にラプラプ像が遠望され、左手の煉瓦造りの門の上方に「THE OCHIDARIUM」と書かれている。
「ここ蘭園だよね。蘭の花って10万種以上あるんだってね。色鮮やかで造形がユニーク。華麗でかつ繊細。素晴らしい香り。友達に蘭中毒がいてね。自分でランチュウと言っているんだけど、はまったらやめられないそうだ。入ってみない?」
「そうね。あたし、よく知らないけど・・・ いいわよ」
入場券を買い、入口から続く花のアーケードの下を進む。
庭園の小さな滝の前に来る。
「オーキッドの花言葉って、知っている?」
「いいえ、知らないわ」
「君みたいだね」
「えっ、何なの?」
「蘭の花言葉は美女だそうだよ」
「あら、嫌だわ」
「感じていてくれたと思うけど、僕は君が好きだ。好きだ。好きだ。死ぬほど好きだ。この突き抜ける青い空くらい君が好きだ」
平凡な言葉でも、繰り返しは女の子を喜ばせる。
「うれしいわ」
「君は蘭の化身だ。美しくて良い匂いがする。僕は完全に蘭中毒、いや、君に中毒になってしまったようだ。もう君なしでは生きられないできるなら、このままずっと僕のそばいてくれたらなあと思っているんだけど・・・・。僕じゃ、嫌かなあ」
「そんなこと、な・・」
顔を赤くしているコーラを、背骨が折れそうなくらい抱きしめてルージュの剥げかかった乾いた唇に軽くキスをする。
「俺、カレッサのように、目の周りに覆いを作り、他の女には見向きもせずに、君を乗せて突っ走るよ」
「あら、本当?」
「目隠しなんか必要ないか。他の女性なんか君に比べたら、しおれた花さ。道端の名もない雑草さ」
「あら、まあ」
「ねえ、二人で僕達の物語を作っていかないか。最高の特別の愛の物語をね」
「うふっ、反対なんてできないわ」

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・・・・・・・・
滝の前を離れ、昂揚した心のまま再びゆっくり歩き出す。
丈の短いファッショナブルなデザインの薄紫のTシャツにジーンズ生地のホットパンツ。肌のあらわに出ている、コーラの腰に手を回す。はちきれるような弾力と適度に湿ったぬくもりが官能を刺激する。スキンシップは心の距離を近づける。
シダの垂れ下がったなだらかな小道を高ぶった心で上りながら、隆志は心の中で冷静になることを呼びかける。またしても予感がうごめく。俺はこういう状況で失敗することが多い。落ち着け、落ち着け。
坂道を上り切ったところにバタフライ・パビリオンがある。入口にはドアがなく、鉄の細い鎖が十数本、暖簾のように地上20センチメートルあたりまで垂れ下がっているだけで、外気と室内の空気を遮断するものはなのもない。蝶を外に逃さないためには鎖の暖簾でけで十分らしい。
中は少しむっとして温室のように感じられる。足元には水が流れ、咲きそろった小さな花の周りを小型の蝶が群れ飛んでいる。
「ね、ねえ、隆志、蝶々のこと、フィリピノ語でなんて言うか、知っている?」
「いや、知らないな」
「パルパロと言うのよ。それからね。女好きのプレイ・ボーイもパルパロって言うのよ。花から花へ美味しい蜜を求めて遊びまわるからかしら。私の元彼、皆パルパロだったの。ハンサムで若い男達だったから仕方なかったのかもしれない。けど、それにしても、私って、つくづく男運がないのよ。好きになった男は例外なくパロパロ。捨てられる軽い女を演じてばかり・・・でも、私って独占欲が強くプライドが高いの。最初に好きになってつきあった男、刺したのよ。他の女といちゃついている彼を許せなかった。気がついたら刺していたわ」
「うっ、怖いなあ」
「私はフィリピーナ。プライドは高くてよ。フフフ、覚悟しておいてね。私、パルパロ、もう絶対に許さないから。裏切ったら殺すわよ」
眼が笑っていない。背筋を戦慄が走った。同時に、何故か快感も。人間の感情って複雑だ。一筋縄でいかない。理屈で説明できない部分がある。
「君のためなら死んでもいい。いや、君になら殺されてもいいぜ。カマキリのメスは交尾の後にオスを生きたまま喰うらしいね。君に喰われて本望さ」
正直な気持ちだった。惚れ切った女になら殺されてもいい。刺されると考えるとゾクッと身震いがする。気づかなかったけれど、俺って究極のマゾヒストなのかもしれない。隆志はぼんやりと考えていた。

「日本では、君のように夜のお店で働く女性のことを夜の蝶と言うんだぜ。君こそ男達の間を華麗に飛び回るパルパロじゃないのか」
外部と内部を分け隔てるノレン状の鎖に思いはせ、ある考えに行き着いた。
コーラを自分の手元から絶対に逃したくない。それにはがっちりと隙間なく遮断するドアよりも鎖を垂らしておく方がよさそうだな。俺は今まで女性を完全に支配しようとして失敗してきたような気がする。

前に立つコーラの後れ毛から醸し出すほのかな香水の匂いと熟し始めた女の匂い。
くらっとした。たまらない。もう君のためならなんでもするぜ。
コーラはむきになってしゃべり始める。
「そうよ。私はパルパロ。蝶々よ。夜だけじゃなく、昼間も自由に飛び回るの。自由よ。私、誰の物にもならないわ。私を束縛しようと思ったら大間違いよ」
振り向くと、手をヒラヒラさせて、辺りを走り回っている。子供みたいだ。20歳を過ぎた女のやることか。
蝶の写真を撮ろうとしていた隆志はあっけに取られてしまった。
成熟と幼児性の混在。そのアンバランスがなんとも面白い。
さっきまでつまらなそうだった。でも、今はいたずらっぽい笑みを浮かべて夢中に飛び回っている。。こんな顔もするんだ。また少し彼女のことを知ったような気がした。お店の顔とは違う。さらに心の距離が近づいている。対等な男と女として向かい合っているような気がした。

パビリオンの中は丈の高い草むらになっていて小道が迷路のように入り組んでいる。
いつのまにかコーラは茂みの向こうに消えていた。しばらくして草むらのおくのでしのび笑いが聞こえる。
今度は隠れんぼか。よ~し、遊んでやろう。なんだか遠い子供の頃に返ったようで、と素直な気持ちになる。
あわてふためいてやろう。
「コーラ、コーラ、どこだよう。君がいないとさびしいよう」
見通しのいいところでじっと待つことにする。やがて動いてくるさ。
いた。いた。単純だ。すぐに動いてくる。後ずさりしてくる身体を後ろからいきなり抱きすくめる。
左手で下腹部を押さえ、右手で口を押さえる。
「声を出すな。静かにしていれば、命は助けてやる」
「うっ、く、苦しいわ。やめてえ。ゴメン・・許してえ」
「俺の言うとおりすれば、許してやるさ」
右手で顎を後ろにむけ、強引に唇を奪う。
「ムムム・・、バカあ、苦しいってば」
言葉とは裏腹に背中に回った手に力が込められ、舌を吸い寄せてくる。
情熱的だ。可愛い。こいつのキスはなんて気持ちがいいんだ。隆志は恍惚となる。

後ろから腰を抱くと、タイタニックの映画の姿勢で、体重をあずけ手をバタバタ扇ぐ。
蝶の真似か。お尻が敏感な部分にあたる。下の方を突き抜ける熱い衝動。
ムラっとする。刺激的。たまらないぜ。まずい、まずい。真昼の公共の場でのうずき。
理性がなんとかほてりを抑える。
「飛ぶわ、飛ぶわ。私は未来へ向かって自由に飛びつづけるわ。あなたは疲れ切った私の帰る所。それでも良い?」
よし、コーラの休憩の場、拠り所になってやろう。
果てないながらも、うっとりとするような余韻。

陽も翳ってきた。
「お腹、すいてきたな」
「そうね。すいてきたわ」
蘭園中央に位置するレストラン「BARBARA」に入る。
★赤ワインを傾ける。コーラの目の周りがほんのりと染まっている。テーブルの下で彼女の手にそっと手をおく。
「僕の計画を少し話してもいいかい?」
「ええ、な~に?」
コーラの手をきつく握り、
「近い将来、僕達の間に君にそっくりなオーキッドベービーを作りたいんだ」
「まあ、そんな、あたし・・」
「女の子が生まれたら、その子に蘭(ラン)って名前をつけるのが僕の夢になったんだ」
彼女も握りかえしてくる。
「不思議だわ。私も同じような気持ちだったの。その夢、協力しちゃおうかなあ」

「あなたって、タフで、激しくて、情熱的で、とても頼りがいがある。好きだわ」
彼女、顔を赤くしている。ワインのせいばかりではない。昨夜の情熱的な出来事を思い出したらしい。
「あなたの顔って、野性的で、個性的で、とても素敵。私、とても好きよ。でも、ハンサムじゃないわ。女の子、あなたに似ているかもしれないわね。どうする?」
「そうか。そういうケースもあるか。想定外だな。うーん。そのときもやっぱしランでいくよ。日本語の漢字は少し違うんだけど、乱という字でね。
ちょっと乱れちゃったものな。大きくなったら、きっと男共を狂わせるぞ」
「よくわからないわ。ねえ、で、男の子が生まれたら、どうするの?」
「そうか。そういうケースもあるか。想定外だな。そうだなあ。蘭丸にしようか。美少年になるぞ。でも、なんだかホモになりそうだなあ。まあ、いいっか、僕は進んでいるんだ。そんなことに差別意識は持ってないんだぜ」
隆志は、ワインの酔いではない酔いで、頭はボッとしているのに、口が勝手に滑らかに回ってしまう。

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・・・・・・・・・・・
午後8時を回った。
レストランの外はもうとっぷり日が暮れている。
蘭園を出ると、左手にライトアップされたラプラプの像が木々の間に屹立している。来た道をゆっくりと引き返す。人通りはまだ昼間とさほど変わりがない。
が、気のせいか、コーラが身を硬くしているのが、絡めた汗ばんだ指の間からから伝わってくる。
ジープニーが行き交うマリア・オロッサを渡る。明るく灯を燈した売店が道路に沿って並んでいる。広がった芝生の上は薄暗がりで、恋人達が囁きあいハグしキスしている気配が感じられる。
突然、コーラが歩みを止めた。外灯の薄明かりの下で、隆志の手を堅く握ったまま、向き合ってじっと眼を見つめてくる。訴えかけるような表情。意を決したように口が開く。
「さっきのお話、とてもうれしかったわ。でも・・・、私、言っておかなければならないことがあるの」
「なんだい。怖いな」
向けていた視線を下に落とす。魅力的な長いまつげがかすかに震えている。
「実は、私、3歳の女の子がいるの。ジーナって言うのよ」
「・・・・・・」
きた。覚悟はしていた。
魅力的なフィリピン女性なら二十歳前後で子供が一人くらいいるのは珍しくもなんともない。
コーラの漂う色香。男を扱いなれた所作。男を十分に知っているのはわかっていた。ひときわ目立つ憂いを含んだ大きな眼。彫りの深い整った容貌。出るところは出た引き締まったスレンダーな姿態。男共が黙って指を加えて見逃すはずがない。
ハイティーンでのハンサムな男との恋。そしてお定まりの結末。想定内だ。
「隠すつもりはなかったけれど、出会って早い時期に言うことでもないわよね。でも、もう言わないわけにはいか
ないわ。こんな私、受け入れられて?」
「う~ん、そうか。ちょっと心を整理したい。少しだけ時間をくれないか」
近くのベンチに腰をおろす。心は決まっていた。が、少しだけ考える振りだけはしなくては。
「父親って、どんな男? 一緒に暮らしているの? 今も一緒にいるなら、それはちょっと無理だな。君のためにもこれ以上深入りしたくない」
「私、男なんて選り取り見取りだったわ。ジーナの父親は最初に死ぬほど好きになって夢中になった男よ。そう、私が刺して一緒に死のうと思った男。ハンサムで背が高くて目が綺麗で優しくて女の子ならほっておけないタイプの男だった。私達、人も羨む、最高のカップルだったわ。ジーナを18歳で生んだの。でも、もうとっくに別れているの。どこにいるかもわからないわ。未練が全然ないと言えば嘘になるけれど、もう一緒になることは絶対にないわ。それくらい傷つけられたし憎んだの。向こうも私以上に私を恨んでいるわ」
「そうか。今の俺にはうれしいな」
「心の空白を埋めようと、その後、何人もの男、いや何十人もかな、とつきあったけれど、だめだったわ。荒れた生活を送っていたわ。今は、ジーナが生きがい。私の宝物。ジーナを受け入れてくれない男とはつきあえない。こういう私を受け入れられて?」
お金だけが目的なら、こんなことは言わないだろう。本気でつきあうつもりだから言い出したのだろう。相変わらず自分に都合よく解釈した。己の甘さを封印し、腰にまわした両手を強くひきつけて耳元に囁くように即答していた。
「君の子供は君の分身。君と同じように愛するのは当たり前だろう。ジーナっていう子に早く会いたいよ」
「よかった・・・・。ほっとしたわ」
薄暗くてよくわからないが、瞳が濡れているように感じられた。身体が小刻みに振動している。
ただうれしさだけではない何か他の感情に突き動かされているような気もした。

「いろいろ、あったの。半年前、ジーナをずっと面倒みてくれていた母が死んで、続いてすぐに、私を精神的に支えていてくれた一番上の姉が入院してしまったの。私、パニックになったわ。精神状態、ずっとおかしかったみたい」
「苦労したんだね」
「私の夢は、つつましいのよ。食べる物と住むところがあり、愛する好きな人達と仲良く暮らすことなの」
「俺の夢も、凡なる幸せ。大きな成功なんか求めていない。平和で温かな日常生活。君と同じじゃないかな。気が合うじゃないか」

彼女こそ待ち続けた伴侶だ。具象化された希望だ。
明るい前向きな性格、穏やかでのんびりとした物腰。存在そのものが癒し。
そのためなら、どんな代償を払ってもいいさ。
傾き掛けた人生で見つけた宝石。
神様がお与えてくださった奇跡。大切に守るさ。
私が望んでいたものをすべて持っている。
彼女となら、うまくやっていけそう。
根拠はないが確信はある。

後は怖れることなく突き進むだけ。自分の未来は自分で面白く作り上げるのさ。

見上げれば満天の星。二人して歩く前方に浮かびあがる電飾されたマニラホテル。その右上に満月が怪しく輝いている。
潤いのある日々はすぐそこにある。人生のターニング・ポイント。我が最良の日。
隆志は感動した。頬を伝わる涙は心地よく隠そうとも思わなかった。
男はロマンチスト。涙がよく似合う。

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by wakahiroo | 2007-07-31 18:25 | ○マラテ迷宮案内
2007年 07月 29日

Gポイントの酔っ払い

★2007年1月~5月の比国滞在時の出来事です。
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酔っ払った、酔っ払った。
女房と二人で、エンペラドール8杯とフレンチ・フライ。
ご機嫌の佐太郎。
酩酊度7くらいかな。
この瞬間、人生、捨てたもんでもないわい、と感じている。

最近、飲みたくなると、ファウラの「Gポイント」というお店に女房と一緒に行くことが多い。
佐太郎の嗜好に合っている。
女性ボーカルのライブバンドが入っている。
客は、ほとんどが金のなさそうな欧米人。

新宿育ちの佐太郎、場末的雰囲気が大好きだ。
取り澄ましたところは苦手だ。胡散臭い危険の匂いの漂っているところの方が、安らぎを覚えるのだ。

このお店のディープだぜい。
年増度といい、妖怪度といい、かなりの高得点。
限界すれすれのところをついている。スリリング。

この店、常識人には、その良さがわからないだろうな。
なにやらハロハロに似ている。
ゴチャゴチャにいろんなものが詰め込まれていて、ある種の形容しがたいハーモニーを醸し出している。
慣れない人は、口に合わないだろう。拒絶反応ってヤツや。


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酔っ払って咆哮する佐太郎。
気分はライオン丸さ。
酩酊度8に上がっているか。
「ネエチャン、酒もってこい」とか、わけのわからないことをがなり立てているのではない。
多分、70年代80年代の英語のヒット曲を一緒になって歌っているんだ。
なんたって、ジジイの青春の音楽だもんな。
心の中では涙していたりして・・・・
佐太郎って、感傷的で、硝子のハートを持っているんだ。

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ウェートレスは、若くて可愛い子が多い。
フィリピノ語で馬鹿なことを言って、適当にからかっているんさ。女房もあきれ顔。
話をしていると、19歳のアルバイトのこの子も、真面目な子なのが伝わってきた。
孫みたいに可愛いぜ。←といいつつ、鼻の下を伸ばしている。

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足の悪い佐太郎も踊るんだぜ。
もともとジジイ。かっこなんて何にもつけないさ。
女の子達の真ん中に分け入っていって、自己陶酔して踊っている。
あっ、また、ハポン(日本人)の酔っ払いだ、なんて感じだねえ。
時々、欧米系の同類のジジイが現れるけどね。仲間よ。
生きているうちは楽しくいかないとね。
てやんでえ、阿片でも何でも吸引してやろうじゃないか。
佐太郎、ここに錯乱せり!

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帽子は佐太郎のトレード・マーク。
この帽子、2代目なんだ。
1代目は、汚れ過ぎで捨てようかと思っていたとき、コスタルロードでジープから自発的に飛んでいってしまった。

エンペラドール、ロックで1杯、85ペソ(200円ちょい)。
結構。高い。←日本の物価で考えるなよ。
なんたって、エンペラドール1本。ミニストップでは87ペソ、サリサリストアでは64ペソだものなあ。
エンペラドールって、フィリピンのブランディーだ。値段の割りに旨いぜ。
未経験の方がおいでなら、是非試してくれや。効くぜい。胃に滲みるぜい。
とにかくここのロック、原価から計算すると、とっても高~いのだ。
そんなこと言ってたら、お店でなんか、飲めないよな。
気分転換代だわさ。雰囲気を買っているんだ。
帰りは、パジャックで30ペソ。

今度、日本に1本、お土産に持っていこうと思っている。

部屋には、エンペラドールか真露をだいたい置いてある。
だども、あまり飲まない。家で飲んでいてもつまらないんだよな。

・・・・・・・・・・・・
★Gポイントにおける、美についての考察

飲む。踊る。踊る。飲む。酔っ払う。
岡場所的なお店だ。
佐太郎、風俗ライターじゃないからね。
違った視点でこのお店を観察してみる。

佐太郎は新宿育ち。場末的雰囲気が大好きだ。
取り澄ましたところ、セレブっているところは苦手だ。胡散臭い危険の匂いの漂っているところの方が、心休まるのだ。

このお店のディープ度、なかなか。
年増度も妖怪度も限界すれすれのところをついている。スリリングだ。ぞくぞくするぜい。
女房がここなら現役で務まるかと聞く。
一瞬躊躇したものの「ぜ~んぜ~ん、大丈夫」なんて答えていた。ハハハ。
これって、持ち上げたことになるんだよな。

欧米人のお年寄りの好みって、私のような日本人には理解しにくいところがある。
マニアックだ。
発酵、爛熟、崩れ、乱れ、不均衡・・・

欧米人の美意識がおかしいって。そんなこたあ、ないさ。
日本人は、美の基本を欧米系の顔においている。
見ていると、欧米顔した美人には抜きがたい劣等感からかただただ卑屈になっているようだ。
物質文明の先進性を考えるといたし方ないか。
欧米人は、遊ぶとき、妻や恋人と違ったものを求めるんじゃないかな。非日常をね。

佐太郎もどう影響されたのか、このところ嗜好が変わってきたらしい。
だんだんその良さがわかるようになってきた。
この歳になって、やっと芸術性に目覚めてきたのかなあ。
美しい女性の絵より、ピカソの絵画だよな。

整った美形にこだわるようではまだまだだな。
若者なら許そう。
人生の酸いも甘いも噛み分けることのできる年代なら、その青さを笑ってやるぜ。
そんなことないか。
「蓼(タデ)喰う虫も好き好き」って言うものな。
佐太郎、お前、アホやなあ。それを言うなら、「十人十色」やろが。
ん? そんなことないか。おお、日本語は難しい。

アンバランスで崩壊しかっている造作は、飽きもこないし、奥が深い。
美は乱調にあり!だぜい。

この店、常識的な考えしかできないお方は、その良さがわからず逃げ帰るだろうな。
フィリピンのカキ氷、ハロハロに似ている。
ゴチャゴチャにいろんなものが詰め込まれていて、ある種の形容しがたいハーモニーを複雑な味を醸し出している。そこが魅力なんだけど、オツムの固い人、芸術性に目覚めていない人は、肌に合わないよな。

この辺からデル・ピラールにかけてはこの種の女性をピックアップできるお店が何軒かある。
佐太郎、好奇心旺盛だから、それぞれのお店の特徴も心得ている。
でも、ジジイ、風俗ライターじゃないから、あえて無視するよ。

誤解を承知で言うと、プロステチューションもごく普通の日常的営みさ、文化よ。
特別な眼で見ることは何もないさ。
世界最古の職業の一つだそうじゃないか。
吉原抜きでは、江戸庶民文化は語れないんじゃないか。

現実に存在しているのに、ないかのように触れないっていうのもおかしいよな。
ジジイの主義に反する。
ましてや、貞操とかいう幻を信じ込んでいる女性達の偏見なんて、度の入ったサングラスよ。糞くらえさ。

おっと、前言、取り消し。
女房がこわい・・・

by wakahiroo | 2007-07-29 19:20 | ○マラテ迷宮案内
2007年 07月 20日

マニラよたよた歩き「イントラムロスの城壁の上を歩く(その1)」

  ★2007年1月~5月の比国滞在時の出来事です。

 イントラムロスの魅力は城壁と廃墟さ!!

イントラムロスの北側の部分(フォート・サンチャゴや、城壁そのものがなくなっている、イミグレションの近辺)を除いて、イントラムロスの城壁の上をずっと歩くことができるってこと、知っていたかい?

佐太郎の「イントラムロスを歩く」旅は、途中から「イントラムロスの城壁を歩く」旅となってしまった。その結果、ブログの項目も別立てになってしまった。
足の悪い私には難儀な部分もあったが、なんとかイントラムロスの城壁の上を完歩することができた。
イントラムロスの城壁から見るイントラムロス内外の景色は変化に富んでいて魅力的だ。
そのため、最後に行ったフォート・サンチャゴは相対的に、観光地化したつまらない場所のようにも思われてしまったほどだ。

真上から照りつける強烈な太陽光さえ厭わなければ、カレッサに乗って城内一周なんかでは味わえない醍醐味を味わえるぜ。
佐太郎は7日かかった。君なら2、3日で歩けるさ。

まずは、イントラムロス南西にある「PUERUTA REAL GARDENS」からイントラムロス南東にある「Baruarte de San Andres」まで(もちろん逆でも良い)城壁の上を歩いてみたら。
きっと城壁歩きにはまるぜ。1時間弱で歩ける。
「PUERUTA REAL GARDENS」も「Baruarte de San Andres」も見所が多いから、一日がかりになってしまうけど。

今だから言える。
イントラムロスの魅力は城壁歩きと廃墟(戦争の爪痕)を目の前にして歴史の重みを感じることさ。

城壁都市イントラムロス。
城壁の上を歩くのが、最大の観光のポイントじゃないのか。
足を使わずして何が観光じゃ。イントラムロスの最高の魅力を何も知らずに帰るだけさ。ザマアミロ。

イントラムロスの中に点在する廃墟も味がある。凄味がある。私達の国、日本がかかわった戦争があったという厳然とした事実を感じて考えさせられてしまう。
実をいうと、廃墟を背景にして、それに負けない個性的な美女の写真を撮りたくなっっている。夢として心の中に密かに温めているんだ。
現代的なメーク・アップをしたような美女じゃ風景に飲みこまれてれてしまうだけさ。
歴史と堪えてきた風雪の重みに打ち負けない極めつけの美女が必要だ。
なんて、不謹慎でことを言っているけど、イントラムロスを壊滅的に破壊したのは、佐太郎の誕生した年の1945年のマニラの戦いなんだよな。
日米の軍人、フィリピン人のゲリラがたくさん死んだ、それ以上に、10万人というフィリピン人の無辜の市民が犠牲になったというんだぜ。
日本も原爆投下、敗戦とつらい時代を過ごしてきたが、フィリピン市民も戦争当事国ではないのに悲惨な経験をしていたんだ。
佐太郎らしくなく、歴史なんかも、少し思いやったりして・・・・
そうさ、ここは悲惨で理不尽な戦争を通り抜けてきたんさ。
廃墟をそのままにしているのは、歴史の証人にする決意なのかな。
言うなれば、イントラムロス、それ自体が戦争博物館なのだ。
「佐太郎はイントラムロスが廃墟になったとき生まれたんだ」と思うと廃墟を見る目もしみじみ~だった。うっすらと目の中に汗をかいていたような気もする。

カーサ・マニラ博物館に行って、城壁で守られた中で、暮らした植民地支配階級の、コロニアルな優雅で豪勢な暮らしの一端を偲ぶのもいいだろう。
感受性の問題だろうけど、見終わった後、佐太郎は何だか虚しさだけが残った。
ここに暮らしていた人達が本当に幸せだったのかなあと思ったりしただけさ。
豪勢な暮らしがそのまま幸せとは結びつかないと言いたいだけさ。ハハハ。

城壁から見るゴルフコースは確かにきれいだ。
だども、ゴルフは地球の自然環境破壊に加担するスポーツとして、スポーツの中で最低の位置づけをしている佐太郎は、複雑だ。ちょっとひっかかるものがある。
このゴルフ場って、日本で言うと皇居の周りがゴルフ場になっているようなものだよな。抵抗を感じないかい。
佐太郎流に予測すると、このゴルフ場が、一部の特権階級のものではなく、一般市民の憩いの場の公園に転用できたとき、フィリピンに民主主義が根付いたときのような気がする。
ちょっと手を加えれば、素敵な公園になるぞ。

イントラムロス内はジープニーが走っていない。
物事を単純に考えてはいけないのだけれども、なんだかそれだけでスッキリ感がする。

延べ7日間のよたよた歩き。このところ歩くことに弱気になっていたのだが、大きな自信になったようだ。
佐太郎は自分のことは都合よく単純に考える。
まだまだ歩ける。やれば出来る。

行く先々で水分補給のため10ペソのポップ・コーラをよく飲んだ。喉の渇きを潤すって、幸せそのものだ!
直射する太陽の下、歩きながら食べたやはり10ペソのビニール袋に入れた細かく切ったパイナップルのおいしかったこと。泣きそうになった。
飲食物がおいしいかどうかは値段じゃない。
状況だぜ。再確認した。

一応、カソリック教徒の佐太郎。
サン・オーガスティン教会とマニラ・カセドラルでは、家族の平安を願って、しばし、お祈りしていたことも付け加えておく。



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写真は、「PUERUTA REAL GARDENS」側から「Baruarte de San Andres」方向の城壁上を撮ったもの。どうだい、歩きたくならないかい。
前の建物は、UNIVERSITY OF THE CITY OF MANILA。後ろのビルは、DEPARTMENT OF LABOR & EMPLOYMENT。
あの鉄柵の囲いの下にキャノン(大砲)がある。

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イントラムロスの南口を入って左に折れると城壁が西に真っ直ぐ伸びている。
突き当りが「Baluarte de San Diego Gardens」。右が「UNIVERSITY OF THE CITY OF MANILA」の校舎。
上の写真は、この壁の上。

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イントラムロスの南口を入って右に折れると城壁が東にも真っ直ぐ伸びている。
突き当りが「Baruarte de San Andres」。
左が、「DEPARTMENT OF LABOR & EMPLOYMENT」のビル。なかなか雰囲気のある建物だ。 この壁の上ももちろん歩ける。

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昔、ここに歩哨が立っていたのかなあ。
花の向こうは、PUERUTA REAL GARDENSなのだ。


   San Diego Gardensから北に続く道
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「Baluarte de San Diego Gardens」から城壁の道はイントラムロスの東側を真直ぐ北へ伸びている。
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「Baluarte de San Diego Gardens」の北側にある城壁への階段
この辺の城壁は地元民の憩いの場になっている。眺めがいいものなあ。

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折から日曜日。城壁の上ではなにやら集会が行われていた。
軍人のようだった。

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城壁のすぐ内側にあった雰囲気のある廃墟
真ん中のスロープは城壁へ昇降できる。
廃墟の醸し出す歴史的重厚さとはかなさ加減をセピアで表現してみた。が、やり過ぎだったな。

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由緒ある建物だったんだろうな。すさまじい廃墟。
城壁から道路一本隔てたところにある。
日本で言ったら、原爆ドームみたいなものだろうか。戦争の記念碑だよな。
隣りのコファンコ・ビル(と確か聞いた)とマッチしている。

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反対側はゴルフ場。対照的な風景だ。
ゴルフコースに沿った道は北にどんどん続いている。

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西側の城壁から見えるマニラ・カセドラル
左側の廃屋は、SAN IGNACIO CHURCH の跡。
私が通っている教会は、四谷の聖イグナチオ教会。何か関係あるのかな。

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城壁の道はさらに北に伸びる。

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西側の城壁の道はここで終了。
北西の入口のすぐ近く。
「NO ENTRY」を無視してすすめば、入場料が40ペソのフォート・サンチャゴに続くようだ。
ただで行けちゃあ、具合悪いべさ。

  ★ 「イントラムロスの城壁の上を歩く(その2)」に続きます。

by wakahiroo | 2007-07-20 13:10
2007年 07月 20日

マニラよたよた歩き「イントラムロスの城壁の上を歩く(その2)」

Baruarte de San Andres~Baluarte de San Diego
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Baruarte de San Andresとその向こうのマラテのビル群

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この道の中央辺りで壁越しに見たマラテのビル群

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Baruarte de San Andres側からBaluarte de San Diego方向を撮る。
右の建物が UNIVERSITY OF THE CITY OF MANILA 。
遠くにマニラ・ホテルが見える。

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イントラムロスの南入口の真上から撮ったイントラムロス中央を走るGen. Luna Street
この通りの左側にサン・オーガスティン教会、右側にマニラ・カセドラル(遠くに見える)がある。見所の多い。イントラムロスの中央通りだ。
城壁沿いの道とこの道をつかみ切れれば、ほぼイントラムロスの地理は掌握だ。
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南側の壁の中央辺りから Baluarte de San Diego 方向を撮る。
San Andres と San Diego のガードマンが雑談していた。
結構歩きやすそうな道やろ。
騙されたと思って歩いてみろよ。

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逆に、中央辺りから Baruarte de San Andres 方向を撮る。
左の建物は、DEPARTMENT OF LABOR & EMPLOYMENT。

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Baluarte de San Diego のガードマンの事務所らしい。
いろいろ聞いても親切に対応してくれた。暇そうだったものな。

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Baluarte de San Diego の広場全景

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Baluarte de San Diego の見張り所
銃眼からゴルフ場が見える

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イントラムロス東側のゴルフ場


  Baruarte de San Andresから北に続く道
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Baluarte de San Diego から北に続く城壁の道は、イントラムロス東側の道だ。
左の赤い建物は、マニラ・ブリティン誌社屋。

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道はさらに北に続く。
暑いし疲れてきたし・・・
休む木陰もない。
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東の入口近くにあった城壁の上の広場
大砲が10台くらい設置されていた。シティホールを狙っている。

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この辺では、右手のゴルフ・コースもなくなり、公園になっている。

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左はMapua Institute of Technologyの校舎。
落ち着いた雰囲気だ。
すぐ前に土手があるところから、四谷の上智大学の通りを思い出していた。
城壁の下にはカリンデリアが並んでいた。
喉の渇きが耐えられなくなり、城壁から下りる。
そこで、10ペソのポップコーラを座って飲み、しばし、休憩。

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学生街を過ぎ、大分来たところで、振り返って南の道を撮る。

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城壁内には、住みやすそうなコンドミニアムが並んでいる。

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東側の城壁の道はここで切れていた。
ヘ~イ! イントラムロス城壁完歩! やったぜ、ベイビー! 気分爽快。下の道を少し歩けば、イミグレションがある。
ここは何度も来ている場所だが、私の頭の中でイントラムロスの地図が完成し、その位置がはっきり確認できた。
この日は、西側に出て、ボニファシオ・ドライブを歩いて帰る。
イミグレションの前のスターバックスで、アイスコーヒーとワッフルで軽い食事。

by wakahiroo | 2007-07-20 09:29 | ○マニラよたよた歩き
2007年 07月 17日

マニラよたよた歩き「イントラムロス(その1)」

    ★2007年1月~5月の比国滞在時の出来事です。

イントラムロス東側入口
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1回目はシティ・ホール近くの東側の入口から入って南から出る。
写真は東側の入口
あの「INTRAMUROS」と書いた上を歩くことができるんだぜ。
中に大学がいくつかあるので、学生が多く往来する。
カリンデリア(食堂)が連なり、パジャック(サイドカーのついている人力自転車)の乗り場にもなっている。
イントラムロスの中は、原付のトライシクルも、ジープニーも走っていない。
ある意味、フィリピンらしくない。すっきりしている。
パジャックは地球に優しい未来志向の乗り物として、売り出した方が良いよな。

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東口の近くにマニラ市のシティ・ホールがある。


 イントラムロス南側入口
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2回目以降は南の入口から入った。
南の入口は、リサール・パークの真ん中のマリア・オロッサを突き抜け、交通量の多いブルゴス・ストリートを渡ればすぐだ。
後ろの建物は「DEPARTMENT OF LABOR & EMPLOYMENT」。
交通の激しい通りを渡る術もこの数ヶ月でなんとか身につけた。最初はこわくて渡れなかったんだけどね。
人間って、学習するものなんだ。還暦を過ぎてもね。

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南口を入ってすぐのところにある「UNIVERSITY OF THE CITY OF MANILA」の学生。
狙って撮ったんじゃない。偶然、偶然。←強調
でも、良い感じの子だったよな。
自称フォトグラファー・佐太郎は、イントラムロスを背景にしてフ極め付きのフィリピン美女を撮る夢があるんだ。
篠山ちゃんを超えるぜ。紀信のカアチャンの南沙織って、フィリピン人のハーフなんだってね。
潮風のメロディー、17才、懐かしいなあ。
猛ファンだったんだ。
結婚したとき、紀信のヤローと思ったぜ。


PUERTA REAL GARDENS
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美女の後は花さ。
あまり知られていないけれど、イントラムロスの南口を出たところに「PUERTA REAL GARDENS」という「Acuario de Real(水族館)」のある素敵なガーデンがある。
そこの庭にブーゲンビリアが咲き乱れていた。ガードマンに一言、言っといた方が良いと思うけど、この庭、自由に入れるみたいだよ。
  
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庭の入口が閉まっていたので、近くに座っていた学生に入れるのかどうか聞くと、先にたって案内してくれた。ここにも城壁があり、そこに上がるとき、手を引っ張ってくれたりいろいろと気を使ってくれた。
その18歳だという青年に、帰りがけに分かれるとき、要らないというのに、100ペソ、無理やり渡してしまった。
考えてしまった。失礼なことをしたのかな。純真な気持ちを踏みにじったのかもしれない。
感謝の言葉だけで良かったのかな。
大人の社会をちょっとだけ教えたということにして、無理やり納得しておこう。

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このガーデンの城壁の上
眺めがいいのに、私と青年以外に誰もいなかった。

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ガーデンの出口
向こうはイントラムロスの南口に通じる道路

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ガーデンの出口付近の蓮池
ちょっと雰囲気があるだろ。
ここに腰掛けてしばらくボッとしていた。


Baluarte de San Diego Gardens
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イントラムロスの南口を入って左に折れると道は真っ直ぐ伸びている。突き当りがBaluarte de San Diego Gardens。300メートルくらいかな。遠くはない。
左の城壁の上を歩くことができる。気分が良いぜ。

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この庭は、イントラムロスの南西に位置する。
入場無料である。広くて、景色も最高だ。私はフォート・サンチャゴより好きかな。

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「Baluarte de San Diego 」の庭に置かれていた(展示されていたとは言えない)正体不明の乗り物。
蒸気機関車のようだが、何の説明書きもなかった。

この前で韓国人のグループが写真を撮っていた。
私が写真に入るのが邪魔らしく、ガイドらしき男が、手を大きく振ってあっちに行けという仕種。
無礼な奴とは思ったが、田舎者だから仕方がないかと許してやった。
韓国人には、時々、こういう態度のでかい奴がいるよな。韓国人の面汚しって奴が。

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「Baluarte de San Diego Gardens」の城壁の上の広場からマラテ方向を撮る。

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案内板がかすれていてまったく読めなかった。新しいのを作れよ。
何を見ているのか、わからなかった。その方が、ものをよく見れるってこともあるけどね。
石の円形要塞の跡らしい。違っているかもよ。

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子供達はうれしそうに駆け下りて行ったが、佐太郎にはこの階段はきつかった。
両手を階段につけて、お尻を一段ずつ落とし、なんとか降りることができた。

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壁の間からマラテのビル群を覗く。
ゴルフ場のグリーンとビル群の間にリサール・パークがある。

     「イントラムロス(その2)」に続きます。 
 

by wakahiroo | 2007-07-17 09:35 | ○マニラよたよた歩き
2007年 07月 16日

マニラよたよた歩き「イントラムロス(その2)」

  ★2007年1月~5月の比国滞在時の出来事です。

 ゴルフコース 
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西側のゴルフコース
城壁に沿ってずっと続いている。マニラホテルが見える。
このゴルフ場が、何時の日か、一部の特権階級のためのものではなく、市民の憩いの場、公園になることを願っている。
そのときこそ、フィリピンに民主化が根づいているような気がする。

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コース内には雰囲気のある建造物が散在している。

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東側のゴルフコース


歴史的建造物・その他
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「San Diego Gardens」の近くの城壁に設置されていたキャノン
結構新しい時代のもののようだ。太平洋戦争の頃のものかな。
案内板くらいを置けよ! 金などあまりかからないだろ。
イントラムロス、それ自体が戦争博物館でもあるんだから。

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サン・オーガスティン教会
結婚式が行われるところだった。
その前に聖堂で心を鎮め、家族の平安をお祈りした。
佐太郎、カソリック教徒の端くれだ。

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イントラムロスの普通の裏道風景
フィリピンの他の街の通りに比べると、すっきりしていて綺麗だよな。
庶民の足、パジャックが数台とまっている。
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カーサ・マニラ博物館の中庭
博物館の2、3階に展示されたアンティークな家具は確かに素敵だった。ここで城壁に守られて暮らした植民地支配階級の、コロニアルで優雅で豪勢な暮らしの一端を偲ぶことはできた。
が、佐太郎、見終わった後、何だか虚しさだけが残った。
略奪・支配・圧迫の残骸のような気がした。支配された人達の怨念をむしろ感じたね。

ここで暮らしていた人達が本当に幸せだったのかなあとも思いやっていた。
幸せは一筋縄ではいかない。
表面的な暮らしを見ただけでは何もわからないべさ。

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廃墟SAN IGNACIO CHURCH の内側
中に佇んで古(いにしえ)を忍ぶには好適。
ベンチくらい置いてくれい。いんや、ベンチなんか置いたら逆に興ざめか。

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外壁だけが残されて、中は広場になっていた。
地元民の運動の場や集会に使っているらしい。

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とにかく迫力のある廃墟
この廃墟に関しての案内板を探したが見当たらなかった。
太平洋戦争で破壊されたんだろうな。
広島の原爆ドーム的な存在なのか。
一風景となってイントラムロスに溶け込んでいる。

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Gen. Luna street の中ほどにある、戦争犠牲者の碑のある公園から見たマニラ・カセドラル
ここで近くのサリサリストアで買ってきたポップ・コーラを飲んで一休み。
可愛らしい女の子達が遊んでいるのを眺めていた。

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直近から身上げたマニラ・カセドラル

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イントラムロスの外、ボニファシオ・ドライブから見たマニラ・カセドラル

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ボニファシオ・ドライブ
この道を南に行けば、ロハス・ブルバードに繋がる。道路を渡った向こうにPIERがある。
いつもは、南口からリサール・パークの中を通って帰るが、5日目は、この道をてくてく、いや、よたよた歩いて帰った。
直射する太陽の下、歩きながら、ビニール袋に入れた細かく切った10ペソのパイナップルを食べた。甘酸っぱさがとろけるように口の中に広がる。
そののおいしかったこと。泣きそうになった。
忘れられないぜ。今まで食べた「美味しい物ベスト・テン」に入るだろうな。
食物がおいしいかどうかはやはり値段じゃない。状況だ。当たり前のことを再認識。

木陰で休んでいる掃除人達に「暑いね」と何度も声をかけられた。
カンカン照りの糞暑い中、この足の悪い外国人、よくやるよと、好奇の目で見られていたようだ。
私以外は、誰も歩いていなかった。

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Mapua Institute of Technology の校門から出てくる学生達
女房に言わせると、結構レベルの高い学校なんだって。
学生街ははり華やぎがある。

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フォート・サンチャゴのゲート

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フォート・サンチャゴ内の広場から望んだマニラ・カセドラル
結構、広いので、一日かけてのんびりしたかった。

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フォート・サンチャゴから撮ったパシグ・リバーの対岸チャイナ・タウン方向。
あの立ち上る煙は何なんだ。火事だったりして。でも、情景に似合っていた。

by wakahiroo | 2007-07-16 06:54
2007年 07月 10日

マニラよたよた歩き「リサール・パーク探訪(その1)」

   ★2007年1月~5月の比国滞在時の出来事です。
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ブーゲンビリアが咲き誇るルネタ・パークを毎日のようによたよた歩き回った。
最初は、タフト・アーべニューを北上して東側から。2日目は、マリア・オロッサから中央突破。3日目は、ロハス・ブルバード沿いのベイ・ウォークを通って西側から。4日目はパークの外縁を一周。
5日目は、夕暮れ以降の雰囲気が知りたくて、日暮れ時に、マリア・オロッサから。
受験参考書風に言えば、「リサール・パーク5日間完全攻略」ってわけさ。

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花と水と緑の広々とした公園。
なかなか良い雰囲気だ。若い二人のデートに格好の場所だ。
20年以上前のルネタ・パークをよく知っている私には、信じられない。隔世の感だ。
驚くほどきれいになった。
東京の北の丸公園とか新宿御苑あたりとそんなに遜色ないじゃないか。
池の向こうの丸屋根はプラネタリューム。
一本道路を隔ててイントラムロス。
真ん中のマリア・オロッサ・ストリートを突き抜けて行くのがイントラムロスへの散歩の近道だ。

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 空に青 地に花と水 肌に風 束の間なれど 悩み忘るる  佐太郎
水辺の花って、心をひきつける。
水と青い空と美しい花、他に何が必要だと言うんだい。
喧騒と排ガスの街を離れてここに来るとほっとする。

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マニラ湾が近い。
ときどき海鳥らしい鳥が群れをなして舞う姿も眺められる。暑いながらもなかなかの風情。
写真の青い傘の下、なんとスピーカーなのだ。
公園なのに、音量は抑えているけれど、音楽を流している。
フィリピンらしいと言えばフィリピンらしいんだけど。
やっぱり、ちと抵抗を感じたなあ。ここは静けさを基本とする公園だぜ。
フィリピンではそんな常識、通用しないのかなあ。
フィリピンの人達は、ひょっとすると、静寂恐怖症なのかもしれない。
静かで音楽がないと不安で不安でたまらなくなんのか、気が狂いそうになんのか。
   楽音が 閑けさを消す 旗と風  佐太郎
ところで、公園にたなびいている旗、どんな意味があるのかな。女房も本当にわからないらしく、珍しく知らないと言った。
いつもなら、適当なことを言うのに。

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公園の周囲には高い現代的なビルがどんどん建ち始めている。
緑の公園と良い感じでマッチしている。
マラテの夜の繁華街も近い。

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太陽が半端でなく照り付けている日中は当然のことながらベンチに腰掛けている人はいない。
陽光に顔を晒し、サン・バーンをしていたのは佐太郎一人やった。
「リサール・パーク日焼けサロン」、今のところ、フリーだぜ。
汗をダラダラ流して、強烈な日光の直射を受けているのも、なかなか爽快。
フィリピン人には変人にしか見えないんだろうな。
女房は、早々と日陰に逃げ込んだ。
  日焼け顔 南国気分 昂揚す 佐太郎

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公園内に素敵な萱葺きの田舎屋があった、
カビテから運んだアギナルドの生家なのだそうだ。
今は、セキュリティ・ガードが事務所として使用している。
これ、全部、女房の受け売りなので、信憑性は保証しないよ。
ただ、なんというか、あんまり言いたくないけど、中でパソコンでゲームを興じいた。
まあ、休憩時間ということにしておこう。いや、目の錯覚だったかな。歳をとったんでね。
いつもはえばりくさった、いえ、とても威厳のある、あのお方達がねえ。
笑っちゃったよ。
女房が「恥ずかしい」と言ったところをみると、錯覚でもなかったのかなあ。
なんか、佐太郎、今日は批判的やなあ。どうかしちゃったみたいだなあ。
さっき、孫娘と電話したんで、気持ちが舞い上がっているようだ。
  腐敗見て 絶句してるか アギナルド  佐太郎
マリア・オロッサののすぐ近く、パークのほぼ中央にある。

えっ、佐太郎の俳句もどきって、季語がない、邪道だって? 
邪道は望むところよ、楽しんでいるだけだって。
とにかく、常識とか、取り決めなんて、苦手なんだよな。

(注) エミリオ・アギナルドについて
フィリピン独立に一生を捧げたフィリピンの革命家。フィリピン共和国の初代大統領。
マニラのエドゥサ通りにある「アギナルド空軍基地」にその名が残されている。

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リサール・パークの真ん中を貫くマリア・オロッサ
マリア・オロッサって、結構長い通りなんだぜ。途中、ロビンソン・プレースで中断されているけどね。
ここは交通量は多くはない。でも、ジープニーはいかにもフィリピンだよな。
ここでジープニーに乗るとナックピルの住まいまで7ペソ(20円くらい)で帰れる。

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広い芝生の広がりを見ていると、若い頃、青春特有の無意味なもやもやとした悩みをかかえて、新宿御苑にあてどもなく寝転んでいたのを思い出した。
記憶って不思議だ。突如、これといった脈絡もなくすそのときの気分まで伴いながらよみがえる。
キイーワードは広い芝生か。40年前へのタイム・トリップ。

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オールド・ルネタ・パークと呼ばれている一画。
そうそう、昔のリサール・パークはこんな感じだった。

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夜のリサール・パークにたたずむ妙齢、いや、微妙な年齢ののマガンダン・ババエ(日本語に訳すと美女っつうかなんというか)
ババじゃねえぞ。ババエ(女性)だぜ。フッ~
これだけ、持ち上げとけば、文句はあるめえ。

夜7時過ぎは恋人達の時間のようだ。
芝生の上に寄り添いハグしキスしているようだった。
遠目で見るとそんな感じだったかな。
   灼熱の 太陽の下 散策す 歳老いし妻 懐かしの園  佐太郎
   日常の 瑣事に追われて 鍵かけし 追憶の箱 開けて恥ずかし  佐太郎
   箱の底 眠りて居りし 若き日の 熱よみがえり 甘くこそばく  佐太郎
   恋に落ち さ迷いし地を 散策し 感傷の旅 遠い思い出  佐太郎
実は、この公園は、今から30年ほど前のクリスマス・イブ、女房と始めてデートした場所なんだ。
熱に浮かされたように、夜から朝まで二人で歩きまわっていたんだなあ。
私も女房も若かった。
あの頃の女房の腰回りは今の半分以下で、抱き心地は良かったのにい。
時間は残酷だ。現実は無慈悲だ。
はるかはるか遠くの霞がかかったようにぼんやりとした記憶・・・・

とんだノスタルジックなセンチメンタル・ジャーニーよ。ハハハ。


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夜の公園で、若者達のやることは、万国共通だよな。27年前の佐太郎とカアチャンもまあ想像通りだったさ。
それなのにそれなのに、女房のやつ、「むか~し、ここでデートしたの覚えている?」とぬかしやがった。
「そういえばそういうこともあったような気もするな」なんてあいまいに答えたさ。こういうのって、年甲斐もなく、てれるよな。
ジジイも、テレルってことあるんだ。
テレルなんて感情、もうとっくに忘れてしまったと思っていたのに・・・

二人で芝生の上を歩いていると、男が近づいてきて「シートを買わないか」だってさ。
バ~カ。ジジババが芝生に寝転がって何をやれっていうのさ。
売店でブコ・ジュース買って飲みながら、「ん? 満天の星空のラブホテルかい。結構酔狂じゃん」なんて考えていた。
   サザンクロス 隣りはナニを する人ぞ  佐太郎 
ほーら、ほら、やっぱり佐太郎は下品やろ。
ちょっと、芭蕉さんをパクっちゃったみたいやけど、俳人、いんや、廃人佐太郎のお粗末でした。
でも、写真を見ると、この夜、満月なんだ。きれいやなあ。身体の深いところで血が騒ぐ。
満月に向かって遠吠えしたくなる気持ち、わかるぜ。

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女房は、いつもルネタ・パークと言う。どちらも通用するのだが、どちらが正しいんだ?
正式名称はリサール・パークと言うらしい。
タフト・アーべニュー沿いに「RIZAL PARK」という文字が植え込みで書かれている。
古い人間がルネタ・パークと言うのかな。

「マニラに昔から住んでいる古い人間がルネタ・パークを使うみたいだな」と言うと、女房はリサール・パークの方を使い出した。結構、単純なんだから・・・
タフト・アーべニューはこのもう少し先で終わりになるようだ。

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マリア・オロッサとカラウ・アーべニューの交差点
この道路の向こう側がリサール・パーク

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   「リサール・パーク探訪(その2)」に続きます。

by wakahiroo | 2007-07-10 07:31 | ○マニラよたよた歩き
2007年 07月 09日

マニラよたよた歩き「リサール・パーク探訪(その2)」

 ラプラプ像 
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      ラプラプが 睨みをきかす 青き空   佐太郎
公園の東側、青く澄んだ空を背景にして、上半身裸の男が屹立している。
ネットでリサール・パークを検索すると「公園東端はアグリフィナ・サークルと呼ばれ、中央の大きな地球儀の周囲はローラースケートリンクになっています」と説明されていた。
地球儀はなかったし、ローラースケートもやってなかった。サークルの中心には大きなこの像があった。
手前に碑があって、読みにくいかすれた字で書かれた説明を読んでみると、「The statue of the sentinel of Freedom(自由の番人の像)」とあり、ラプラプの像らしい。
私より英語のできる女房の言うことには、韓国のなんとかというNGOの団体から寄贈されたらしい。
英語の堪能な貴方、今度、読んできてくんろ。


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ラプラプの像とその真似をして辺りを睥睨しているアホ。
威厳がまったくないっつうの。

(注) ラプラプについて
フィリピンの国民的英雄。
セブのマクタン島の酋長で、マゼラン(彼自身はポルトガル人)を指揮官とするスペインの艦隊と戦い、撃退しマゼランを殺した。ヨーロッパの侵略者を追い払った最初のフィリピン人として敬愛されている。


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ローラースケートはやっていなかった。ラプラプさんが目を回さないように、当局が敬意を表して取りやめたのかな。それなら、英断だな。この公園にローラースケートは似合わない。
もっとも、倒壊の危険性が指摘されているという話もあるのだが・・・
でも、ラプラプさん、マニラ湾の方を向いて外敵の侵略を見張っているよりは、120度ほど向きを変えてマラカニアンの方を向いて自国の腐った政治家共を見張っている方が真の自由の番人になるような気がするんだけど・・・
ありゃありゃ、政治と宗教については言及しない主義の佐太郎、珍しく批判的なことを言ってるじゃん。
見る角度や光の加減によって、いろいろに変化して見える。なかなか良い像だゾウ。←すぐ、駄ジャレるアホ
フィリピンの街中にくだらない像が満ち溢れているみたいだけど、佐太郎、この像が一番、好きだゾウ。
見てないけれど、地球儀よりは良いんじゃない。
韓国もなかなか味なことをするよな。韓国海苔くらいに味だぜ。
そのすぐ東に比国の地図の模型があったけど、醜悪そのものだった。
「公園設計者の美的感覚、ひどすぎるぜ」とド素人公園評論家の佐太郎氏は思ったのだった。

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ラプラプ像のすぐ近くの売店
ジジイ、喉が渇いたので、売店でポップ・コーラを買って飲む。
コカ・コーラでもペプシ・コーラでもなく、ポップ・コーラというのがあるんじゃ。
佐太郎、このコーラをこよなく愛するのだ。理由は安いから。

「メーロン、ポップ・コーラ?(ポップ・コーラ、ある?)」
「マラミッグ?(冷たい?)」
「オポ(ええ)」
「マグカノ?(いくら?)」
「サンポ(10ペソ)、#%$*@&、プラスチック?」
「オーオ(うん)」

#%$*@&の部分のフィリピノ語、よくわからなかったが、ビニール袋に入れるかどうか聞いているのはわかった。
佐太郎のフィリピノ語はせいぜいこの程度。幼稚園レベルなんよ。
フィリピノ語、もう少しうまくなりたいんだけど、もう頭がついていかないんよ。
じゃが、一念発起して、学習し始めるつもりでいる。
頭を使わないとボケるそうだからな。

ビニール袋に入れて、歩きながらストローで飲むのはフィリピン流さ。
後ろに書かれているブコ・ジュースって、ココナッツのジュース。
これを飲むことも多い。ただ、なんとなく衛生的でない気はしたのだけど・・・
今はほとんど気にしなくなっている。慣れというのは恐ろしい。

ポップ・コーラとかRCコーラとかは庶民のコーラだ。
セブン・イレブンやAM・PMなどのコンビニでは売ってない。
サリサリストアで買うことができる。


ホセ・リサール記念像

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衛兵が24時間、警備している。
昔はもっと近くで見物できたのに。

(注) ホセ・リサールについて
フィリピン独立運動の闘士にしてフィリピンの国民的英雄。
医師、作家、画家でもあり語学の天才でもあった。志半ばにして捕らえられ、スペイン軍の手で銃殺された。が、その遺志は人々に受け継がれ、今も愛され続けている。ラグナ州カランバの出身。
リサールパークは、リサールが処刑された地で、その名にちなんでいる。




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リサール記念像の付近は観光客が多い。
最近の団体客は韓国人か、中国人だ。日本人はほとんど見かけない。
日本は、先に進んで、海外旅行も個人旅行の時代に入っているんだ。

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リサール記念像を反対側から撮る。
被写体は前から裏から斜めから遠くから撮るんさ。

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少し離れたところから。
国旗のなびき方からみると、マニラ湾から海風が吹いている。


 リサール・パーク西端
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リサール・パークの西端はマニラ湾に面している。
その一画の「ハーバー・ビュー」と呼ばれているところ。

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近くに日本食レストラン「さんばし」というお店があった。
街中のお店とはちょっと違った雰囲気だよな。
味は期待しないで、今度、一度行ってみようか。

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これが「さんばし」か。ここで食事すると、気持ちは良さそうだな。
でも、なんだか蚊に刺されそう。

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ロハス・ブルバードからハーバー・ビュー方向を撮る。

外国人と見ると、カレッサ(写真に見える馬車)に乗れ乗れとうるさい。
 「ヒンディ・ツーリスタ・アコ. ワラン・ぺラ(観光客じゃないよ。お金ないよ)」
というと、ほぼ撃退できる。

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カカ様が撮れと言うから、撮っただけ。佐太郎、極めて従順なんだ。時にはね。

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公園の西側には広々とした芝生の広場がある。左手にスタジアムがあり、時々集会をするようだ。

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凧やオモチャを売っているベンダー。まさしく簡易式移動店舗だ!
凧あげには最適の場所。
後ろの建物はマニラ・ホテル。

by wakahiroo | 2007-07-09 07:14 | ○マニラよたよた歩き