2007年 04月 01日

マニラよたよた歩き「歩け!歩け!歩け! 私の仕事は歩くこと」

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散歩の帰りによく寄るマラテチャーチ
朝、心を鎮めて家族の平安を祈ってくる。
佐太郎、これでもクリスチャンなんだ。
 
脳内出血で倒れてから4年。
仕事を完全に辞めてから、はや2年。
今や、私の仕事は歩くこと(ラカド ラン アン トラバホ コ←このフィリピノ語、ちょっと変かな?)なのだ。

人は皆、日常の何でもないありふれたものの価値を、失って始めて認識する。
二度、歩けなくなって、車椅子のお世話になったことのある私にとっては、歩くことは奇跡に近いことだ。
今、まがりなりにも歩けることを神に感謝し、心から楽しんでいると言ってよい。
見ている人がハラハラするようなよたよた歩きでも。
これでも、車椅子との格差は無限に近いのだ。

あの世に何時いってもおかしくない身になって、しみじみと思う。
幸せというものは、ありふれた日常の中にひっそりと息を潜めている。普段はただ気づかないだけなんだ。
けして、優越感を満足させたり、人を見下したり、他人との比較の上に成り立っているもんなんかじゃないんだぜ。

愛する人が近くにいて、ほどほどの仕事があって、ほどほどに好きなことができて・・・・
それ以上に何を望むってんだ。
人の欲望は際限がない。

幸せって何かだって?
ジジイの見解をもう一度、述べておこう。
人との競争に勝つことなんかじゃない。
それを追い求めると、何時までも飢餓感から逃げられないでえ。
幸福は己の心の中にあるんでさあ。
身の回りのありふれた、ささやかなことに喜びを感じることなんだって。

   ささくれた 心で探す 青い鳥 目指す平安 君がすぐ傍  佐太郎

ゴメン。下手な短歌なんぞ、作っちゃってさ。
本当は短歌を詠むより啖呵を切る方が得意だったんだけどさ。
歳をとり心が穏やかになり、啖呵なんぞ、切ることもなくなったんで。暇だもんね。

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リメディアス・サークルからアドリアティコ方向を望む。
まっすぐ向こうに向かう通りがリメディアス・ストリート。
夜の顔と昼の顔は全然違う。
夜からは、パヨンパヨン(傘の群れ)と化し、テーブルと椅子が並べられて、軽食を取りながら、明け方まで、フィリピン人
が飲んでいる風景が見られる。
たまに、昔の佐太郎みたいなへべれけの酔っ払いもいるぞ。

標準的なお散歩コースを紹介しておこう。
朝10時頃、お散歩開始。
まずは、ナックピル~マリア・オロッサ~サン・アンドレス~キリノ・アーべニュー~アドリアティコ
途中、サン・アンドレス・マーケットでパクワン(スイカ)がおいしそうだったので、一切れ(10ペソ、約25円)購入し、細かく切って
ビニール袋に入れてもらう。
アドリアティコの「ERRA’S BAR & GRILL」で休憩。
お隣りの「KOKO’S NEST」は、夜だけの営業だが、こちらは24時間営業だ。

20分ほど休んだ後、アドリアティコ~ファウラ~ロハス・ブルバード~リメディオス~ジョージ・ボコボと歩き、家に到着。
お散歩終了。これで有酸素運動で、8000歩くらい。

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サン・アンドレス・マーケット
市場というものには不思議な魅力がある。喧騒、駆け引き、ごまかし、人情、エトセトラ、エトセトラ・・・・
人間の営みの良いもの、悪いもの、すべてが凝縮されている。
貧しくとも、着ている服は粗末でも働いている人のエネルギーは逞しく眩しい。
働いている。生活している。生きている。ただただ羨ましい。
家に帰ってメシを食って糞ひって。時々大酒をかっくらって、下手なカラオケがなり立てて。連れ合いと熱くまぐわって、身も世もないような大喧嘩して、子供を可愛がって、子供に悩まされて・・・・・
そんなどこにでもある日常の生活の連鎖が一つ一つ想像ができて、死が射程内に入っているジジイにはただただ眩しい。
その日その日の暮らしを懸命に生きている善男善女達の忙しげに働く壮絶な生命力が眩しい。
眩しい。眩しい。眩しい。

   貧しさと 隣り合わせの 無辜(むこ)の民 その活力を 哀しく目守(まも)る  佐太郎

私の住居から、マリア・オロッサを150メートルほど行くとサン・アンドレスの通りにぶつかり、その斜め前にサン・アンドレス・マーケットが広がっている。
女房は、ものによっては、反対方向のロビンソンで買うこともあるが、食料品はだいたいここで調達してくる。
朝、早くから開いている。が、女房、魚は新鮮なものがないといつもぼやいている。
今、マーケット自体は改築中で、お店は周りの道路に展開している。すぐ近くにスラムっぽい場所が広がっている。
もちろん、佐太郎、その中に入って行くような無茶はしない。
「地球の歩き方」には、南国のフルーツを食べたい人は、ここに行くように書かれているが、まあ、期待はずれに終わるだろうな。
何の変哲もない市場だよ。フルーツを買いたいなら、観光客はロビンソンのスーパーマーケットにでも行った方がいいな。
もちろん、市場の空気を体感したいというなら別だけどね。

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「エラ」で一休みの佐太郎
午前11時はおやつの時間だ。
フィリピンでは、持ち込みを割りと自由にさせてくれる。
20ペソのインスタント・コーヒーとウォーター・メロン。
微妙な取り合わせかもね。
でも、ウォーター・メロン、甘くておいしかった。

ボーイ君に写真を撮ってくれと頼むと、今度は自分達の写真を撮れとのたまう。ごめん、現像する気なんて少しもないんだけどね。
そこで、快く一枚。
概して、こちらの一般庶民、私と同じで、出たがりなんだよな。プライバシーの意識の薄いところも似ているな。気が合うよ。
プライバシーの意識の希薄な社会、遅れているわけでもないんだぜ。
遅れていると考える方が、佐太郎からみれば、遅れているな。
プライバシー、プライバシーでがんじがらめの社会、佐太郎はなんだか息苦しくてたまらない。
なあんて、南の国で考えちゃったりしてさ。

  老いの身に プライバシーは 両刃の剣(つるぎ) 保護の呪文で 孤独の煉獄  佐太郎

えっ、こういうの、短歌じゃなくて川柳って、言うんだって。
やっぱし呆けてきたか。
どっちだって良いんよ。遊んでいるんだから。

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エラのボーイのリンゴとアレックス
よく名前、覚えてるって。記憶力が良い。呆けてないじゃん。
名前で呼ぶと、結構、親近感が湧くもんだぜ。名前を覚えるのが友好の第1歩さ、なんちゃって。
実は、自分達の名前を日本語でどう書くのかと尋ねられたので、カタカナで教えてやったんだ。
佐太郎、アホやから漢字まで教えてやった。どこまでも親切やろ。
林檎と亜烈苦巣。林檎の檎の字は、適当にごまかしたけどね。書けるか、こんな字!
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歩き足りないときは、佐太郎は夕方もお散歩するのだ。

写真はマラテ教会前の噴水のある、名前の知らない広場。
まっすぐ進めばマニラ湾のベイ・ウォーク。
ここもよく散歩するんだぜ。
そろそろ、綺麗な夕陽が見える頃だなあ。

この日、夕方のお散歩(アドリアティコ往復)の帰り、ペドロ・ヒルを渡ろうとすると、いきなり、「佐太郎さんですね」と声をかけられ、「インターネット見ています」と言われた。
お話しようとすると、逃げられてしまった。可愛い女の子連れだったからかなあ。
パンプローナの福松さんのお店の前で福松さんに「佐太郎さんですね」と言われて以来だ。
なんだか、うれしいような、恥ずかしいような・・。
出たがりの目立ちたがり屋の佐太郎。もちろん前者の心の動きが勝っていたけどね。
実は、あんまり大きな声では言わないけれど、後日、LAカフェに行く道でも声をかけられたんだ。
げに、恐ろしや、ネットの力。

  帽子して よたよた歩く 乞食爺(じじ) 心はどこか 巡礼の旅  佐太郎


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佐太郎は深夜も歩くんや。
明るいやろ。この夜は、深夜1時、女房と5分くらいのところにある「ABA」というライブ・ハウスに行くところ。
こんな写真を撮ってると、結構、周りのフィリピン人の若者に受けてたね。佐太郎は受けてなんぼの世界に生きているんや。
生まれ変ったらは上方芸人と決めているんさ。
若いときから夜行性の佐太郎は、夜の12時過ぎに、ミッドナイト・ランブラー(midnight rambler)を時々洒落込む。本能みたいなもんでやめられない。
誰だい。深夜の徘徊老人なんて言うのは。といっても、その通り。反論のしようがない。

  南国の おぼろな路面 踏みしめて 夜の静寂(しじま)を 独り楽しむ  佐太郎

どうだい、徘徊老人ではなく、俳諧老人だろ。深夜の佐太郎の心境さ。老境でもあるんさ。
ありっ、これ短歌か。やっぱし、呆けてきたのかなあ。

とにかく、深夜のの一人歩き、それも逃げることもできない、よたよた歩き。
危険じゃないかって。意識の問題かなあ。
危険な場所は、ある程度掌握しているつもり。そこは避けているさ。
この辺りは、街路灯も整備されていて、人通りも結構あるので、それほどでもないさ。
3000ペソくらい入っている財布は強要するお方にはいつでもカンパするつもりだし、もうそんなに惜しい命でもないし、望むんならこのケチな命
もくれてやっても良いんだぜ。
おっと、こんなこと言うと、また女房、怒るな。

カアチャン。できるだけ長生きするよう努力はするからさ。優しくしてくれよ。

by wakahiroo | 2007-04-01 12:40 | ○マニラよたよた歩き


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