2006年 09月 13日

一杯のグリーンマンゴ・シェーク

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歩いた。歩いた。
久し振り、長距離を歩いた。

2002年、脳出血で倒れてから、その後遺症で、佐太郎は、普通にスタスタ歩けない。
自分で「よたよた歩き」と評しているが、安定感のない危なかしい歩き方をする。もちろん、歩行速度も普通の人よりはるかに遅い。
以前は健脚を自負していた。というより、歩くのが好きだった。
歩ける距離なら、乗り物を使わず、歩いたものだった。
ジョギング、山歩き、東南アジア放浪と、足を使うものを好んで趣味としてきた。
その佐太郎、自由に歩けなくなっても、歩くことには人一倍、執着がある。
見かけがどんなに悪く、危なかしくても、関係ないさ。
「趣味は何ですか」と聞かれたら、今はためらうことなく、「ウォーキングとパソコン」と答える。
目に飛び込んでくる景色を見ながら歩いているとき、生きているという充実感を味わうことができるんだ。
誇張じゃないぜ。
二度、歩けなくなって入院し、車椅子のお世話になった。
歩くことができることって、素晴らしいことなんだぜ。

失って始めて、人はその価値を認識する。
幸せって、ごくありふれた、身近なところに存在する。

持っていないことに不満を感じて自分から不幸になっていないかい?
遠くに青い鳥を探しにいっていないかい?
幸せはすぐそばにあるぜ。

他人との比較から感じる幸せは偽りの幸せ。
真の幸せって、自分の心の中にあるんだぜ。

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ベイ・ウォークを通って、フィリピン・プラザ・ホテルまで歩く計画を立てていたが、雨で延び延びになっていた。
佐太郎は、一度思い立ったことは断固実行に移す実行力の人なのだ。

が、事態は思わぬ方に展開した。
昼11時半、アパートを出発。
天気は良い。そろそろ雨季は終わったのかな。
暑い。

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ここは、唯一、足の悪い私が、余裕を持って安全に、ロハス・ブルバードを渡ることのできる横断歩道。
他の、横断歩道では、怖い思いを何度も体験した。
まだ青なのに、バイクが群れになって疾走してきたり、渡っている途中で赤に変わってしまったり・・・
もう走ることのできない私は命懸け。
生きることにあんまり未練はないけれど、最期に痛い思いをしては死にたくないんだ。
佐太郎は、時にはこわがりの小心者なのだ。

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かんかん照りの中の太公望
この暑い中、よくやるよ。
動きも心なしかせわしなく、釣りを楽しむという雰囲気ではない。
趣味より実益の要素が強いみたいだ。
今夜のオカズでも釣っているのかな。
ともかく、太公望という言葉はふさわしくない。釣り人に訂正するね。

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ヨット・ハーバー
写真ではきれいに見えるかもしれないが、ゴミが浮かんでいたりして汚くて臭い。
そういえば、思い出した。
去年の暮れ、歩けなくなる少し前、ラスピニャスで日本食レストランを営んでおられる福松さんという方とここに来たんだ。
福松さんの友人の整備中のヨットを訪問したんだった。
ただただ臭かった。

その後、入院するなど大変なことがあり、すっかり忘れていた。
嗅覚が、記憶の片隅に残っていた、このヨット・ハーバーの一件を思い出させてくれた。

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ネービーの前を通り、カルチュラルセンターのところで右に折れれば、ほぼ一本道。
右手にはハーバー・エリアを見ながら、さらに先に進むと、写真のような退屈な光景。
歩いている人もまばら。

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着いた! フィリピン・プラザ・ホテルに。
何度も、子供達と泊まりにきているのだけど、表の車寄せを見る限り、あまり記憶にない。
そうそう、プールで溺れかけていた欧米人の子を助けてひどく感謝されたことがあった。
裏のプールの方に行けば記憶がよみがえるかもしれないな。

ここで引き返して、ハーバー・エリアで食事をして帰る予定でいた。
だが、もったいない。まだ余力があるのだ。
ええい、この際、できたばかりだというSMエーシアという大きなモールへ歩いて行っちゃうか。
佐太郎は、時には軽薄な気分屋なのだ。
正確な位置は知らない。だいたいの方角だけはわかるので、行けるところまで行っちゃえ。
佐太郎は、時には向こう見ずな賭博師なのだ。

てなわけで、出発したのだけれども、歩いている人など、私以外に誰もいない。
嫌な予感はした。
男児、いったん、志したことを軽々しく止めるわけにもいかない。
佐太郎は、時には一途の頑固者なのだ。

故障を直していたタクシーの運ちゃんに道を聞くと「ヴェリー ホット、ヴェリー ホット、クレージー」だって。
ヴェリー ホットを2回も繰り返しやがる。カラスの勝手だろ。←相変わらず、古いなあ。
車が直ったら乗ってけ、というニュアンスでもなかった。
クソ暑い中、この足の悪いハポン、よくやるよ。本当に気違いじみていると思っていたのかもしれない。

この辺は急ピッチで街を造成している。
できたばかりらしい、マーケットのスタンドでフレッシュ・マンゴ・ジュースを飲む。45ペソ。
旨い!息を吹き返す。気持ちを新たに出発。

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だども、写真を見てけれ。
何にもないべや。
路面の遠くが濡れて見えるナントカ現象、逃げ水?
とにかく、名前を忘れた現象が遠くに見える。
歩いていて見るのは始めてだった。

暑い、クソ暑い! あの運ちゃんが正しかった!
何やってんだろう、俺。
もうこうなったら、意地だけだ。こんなところで挫折なんかできるかい。
佐太郎は、時には不屈の頑張り屋なのだ。

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野っ原の真ん中に、見えてきた。あれだろ、あれ。
もう一息だ。
元気が出た。
巡回中のポリスのオートバイに意味もなく敬礼。
佐太郎は、時にはひょうきんなお調子者なのだ。


あれが違っていたら、意地もプライドも何も捨ててやる。
へたっていた。
佐太郎は、時には日和見主義的現実主義者なのだ。

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着いた!SMエーシアへ。
初志貫徹。やるじゃないか、佐太郎。
お前は、やっぱり、の一度思い立ったことを断固実行に移す根性の男よ。
えっ、お前、始めSMエーシアへ行くなんて思い立ってなかったって。
細かいことは抜き、抜き。良い気分に浸っているのに。

もう建物の中に入る気力なんぞない。
建物の周りに作られた、写真のお店に腰を下ろす。
まずは、グリーン・マンゴ・シェイク。涙がでるくらい旨かった。
わかった!
今日のウォーキングは、この一杯のマンゴ・シェイクのためにあったんだ。
マンゴ・シェイクを味わうために。
神様も味なことをやるわい。

「一杯のかけそば」ならぬ、佐太郎の「一杯のマンゴ・シェイク」の一席、お粗末でした。

それから、海老テンプラのランチ。130ペソ。いっきにかきこむ。
こんなの蛇足。

到着したことに満足。
さあ、帰ろう。
帰りは、もちろん、タクシーさ。

これって、SMエーシアに行ったことがあるって、他の人に言えるのかな?
軽い疑問は残ったのさ。

by wakahiroo | 2006-09-13 13:24 | ○マラテ迷宮案内


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